変化するがん治療とがん保険

がん保険は必要なのかどうか?議論の分かれるところです。
今回はちょっと触れてみたいと思います。

 

これまで、私がFPとして活動してきた15年間、

1000人近い方の生命保険や医療関連の保険の相談を通じて感じたことですが

 

がん保険を必要だと考える人は

 

・身内をがんで亡くし、治療にとても費用が掛かったと感じている人。

・お金が掛かるために治療をあきらめた他人の事例を知っている人。

 

など、がんの治療にはまとまったお金が必要で

なかなか貯蓄などでは追いつかないと考えている人。

こうした人の中には、より多くの人にがん保険の必要性を

伝えようと、生命保険の販売という仕事を

選んだ方も少なくありません。

 

かたや、がん保険を必要だと考えていない人は

 

・自分はがんにならないと思っている。

・がんの治療がお金のかかるものだという認識がない。
※実際にお金が掛かったと感じる方もいれば
 そうは感じない人もいます。お金がかかるという事象は
 人によって感じ方が違います。

 

また、少し話がずれますが、ある著名なドクターが

書かれた本には、がん保険も、先進医療も、健康保険があるから

必要ないということが書かれていたりもしました。

あくまで、このドクターの主観ですね。

 

どんな商品であれ、サービスであれ

絶対買った方がいい商品などありません。

必要だと思えば、買えばよいと思いますし、

誰が何と言おうといらないと思うのであれば

買わなくていいのです。

 

そこで、判断基準となる最近のがんの治療と

実際にどのくらいお金が掛かるのかを見ていきましょう。

そのうえで、治療費を貯金で賄うか、がん保険で備えるかを
考えればよいのです。


厚生労働省による「平成24年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」
によると、全体の27.8%の方ががんで亡くなっているそうです。
またこのような記述もあります。
「平成 24 年の死因を性・年齢(5歳階級)別に構成割合でみると、514 歳では不慮の事故及

び悪性新生物が、1529 歳では自殺及び不慮の事故が多く、3049 歳では悪性新生物

及び自殺が多く、年齢が高くなるにしたがって、悪性新生物の占める割合が多くなり、

男では 6569 歳で、女では 5559 歳でピークとなる。それ以降は、男女とも心疾患、

脳血管疾患、肺炎の占める割合が、年齢が高くなるとともに多くなっている。男では 90 歳代で

肺炎が最も多く、女では 8599 歳で心疾患、100 歳以上では男女ともに老衰が最も多く

なっている。」
参考にしてみてください。


ひとは、いつ死ぬかは100%予測できません。もちろん

いつ、がんになるのかも100%わかりません。

このデータから言えることは3人に1人ががんで亡くなっていて
30歳を過ぎ、70歳近くまでがんのリスクがそれなりにあるということです。

自分が3人のうちの一人になる可能性があると考えた場合は

次をお読みください。そうでない方は次を読む必要はありません。
時間の無駄です。

 

がんの治療にはいくらかかるのか。

がんは、病気です。発見の段階でも治療にかかるお金は違いますし
選択する治療法も大きく異なります。
私の父は、がんが見つかって約3か月で他界しました。
発見された時は、すでにステージ犬任后4袷瓦碧期の胆管癌でした。

末期であちこちに転移していたので、手術はできない。

放射線も同じく、転移が広範囲であるために、不可能。

残すところは抗がん剤治療のみでした。

抗がん剤はとても高い薬です。
父の場合は、入院もしましたし、大部屋のベッドも空いておらず
個室にはいりました。都心の差額ベッド代は12万円でした。

それでも、健康保険の高額療養費制度があるために

月に8万円ほどの負担と、差額ベッド代がかかりました。
その他に、自由診療で特殊な治療を行っているクリニックにもいきました。
そこは初診料40万円、薬は60万円でした。

がんが治るというお茶も買いました。これは40万円。

しかし、結果として3か月。あっというまです。

トータルで、200万円はかかったでしょうか。
それでも3か月。父は一切保険に加入していなかったので

すべて貯蓄から支払いました。これが1年続いていたら

かなり厳かったことでしょう。

 

ここで、父の事例を詳しくお話したのは
たった、3か月でもこの程度はお金が掛かる可能性があるということ。

また、3か月で亡くなられるがん患者も私はあまり聞いたことがないことです。

がんになったけれども、早期発見で10年たった今も元気だという方の話の方が

良く聞きます。今は治る病気なんですよね。

その他の民間療法や健康保険の効かない治療法を選択してしまうと
治療には膨大なお金が掛かります。

ここでは、その選択肢はひとまず置いておいて、

医師の治療方針にそって治療した健康保険が適用される場合を考えてみましょう。

我々は、健康保険によって、治療費は3割を負担すればよいことは

ご存知ですね。
ただ、治療は高いもので数百万となる場合もあります。
3割負担だけでも数十万になるケースが考えられます。
そこで、健康保険にはもう一つの制度「高額療養費」があります。
これは、所得に応じて異なりますが、一か月の間にかかった治療費が

概ね8万を超えた場合は、国が治療費を支払ってくれるという制度です。
※所得が少なければもっと少なくなります。

このように実際にはどんなに高い治療を行ったとしても

健康保険の対象の治療であれば月々8万円で治療費は抑えられるのです。

こうして書いていると安心される方もいらっしゃると思いますが
もし、抗がん剤治療で毎月8万円の負担が発生した場合

それが1年間継続すると100万円になります。

がんの治療は継続的に行う場合もあります。

翌年もその翌年も、治療に毎月8万円という費用が掛かった場合

それに耐えられる収入や貯蓄があれば、がん保険は不要という判断になるでしょう。

ただ、実際にはこの月8万円を支払うことができず、服用すれば治療効果が

高い抗がん剤も購入できず、亡くなった方もいるとのことです。

前出のがんに保険はいらないと言ったドクターは
殆どが健康保険でカバーできるという理由でした。支払う保険料の方が
高額だと。
たしかに、その通りかもしれませんが
誰もが月々8万円の治療費を支払えるかといえば、答えはノーです。

私はがん保険が絶対に必要だとは思いません。
保険全般に言えることですが、想定している万一のことが起きた場合に
そなえて、今すぐそのお金が必要となった場合にしっかりと支払えるかです。

そして、保険ですから、必ず受け取れるわけではありません。
死因の3割に近いがん。この確率に対して、高確率だと思うか、

自分は3割にはならないと思うかで、保険の必要性が変わってくるでしょう。